韓国のD-7(駐在)ビザが不許可になる理由の多くは、①海外本社等での1年以上の勤務要件、②必須専門人材に当たるか、③実は企業投資(D-8)の対象ではないか、④韓国の支店・連絡事務所の設置と正常な運営を立証できるかのいずれかにあります。延長の段階では、派遣者本人の納税事実の証明と営業資金の導入実績がよく問題になります。この記事では法務部の査証・在留マニュアル(2026年9月版)のD-7の原文に基づき、どこでつまずくのか、再申請の前に何を直すべきかを整理しました。海外本社から韓国の支店・子会社へ社員を派遣する企業の担当者と派遣予定者向けです。
要点まとめ
- D-7は、海外本社等で1年以上勤務した人が、韓国の系列会社・子会社・支店・事務所に必須専門人材として派遣される資格です。
- 役員・上級管理者・専門家に当たることを書類で示せないと、必須専門人材と認められにくくなります。
- 韓国法人が外国人投資企業で、派遣者がその必須専門人材であれば、D-7ではなくD-8(企業投資)の対象です。
- 支店・連絡事務所の設置許可書(申告受理書)と、営業資金の導入実績・運営計画書・納税実績が正常運営を示す中心書類です。
- 延長時は派遣者個人の納税事実の証明が必要です。給与を海外本社から受け取っていても、原則として韓国の勤労所得税の対象です。
D-7駐在ビザは主にどのような理由で不許可になりますか?
法務部マニュアルが定めるD-7の基本的な対象は、「外国の公共機関、団体または会社の本社、支社、その他の事業所等で1年以上勤務した者で、大韓民国にあるその系列会社、子会社、支店または事務所等に必須専門人材として派遣されて勤務しようとする者」です。この文の要素一つひとつが審査のポイントです。
| 要件 | 不許可につながる典型的な状況 |
|---|---|
| 本社等で1年以上勤務 | 入社して1年未満、または在職期間を証明する書類が不足 |
| 必須専門人材 | 職務が役員・上級管理者・専門家に見えない(単純な事務・現場業務など) |
| 派遣勤務 | 韓国で新たに採用した形になっている、派遣命令書がない、派遣期間が不明確 |
| D-8該当者の除外 | 勤務先の韓国法人が外国人投資企業でD-8の対象なのに、D-7で申請した |
| 国内支店等の設置・運営 | 支店・連絡事務所の設置を立証できない、または営業資金の導入・運営実績が確認できない |
さらに、すべての査証に共通する基準も適用されます。出入国管理法施行規則第9条の2は、有効な旅券、入国禁止の対象でないこと、在留資格に該当しそれに合う入国目的を説明できること、許可された在留期間内に帰国すると認められることなどを審査するよう定めています。
本社での勤務が1年未満だと申請できませんか?
原則として海外本社等で1年以上勤務している必要があります。例外はマニュアルに書かれた場合だけです。査証マニュアルは、国家基幹産業または国策事業に従事しようとする場合と、営業資金の導入実績が50万米ドル以上の外国企業の国内支店等に派遣される必須専門人材には、1年の勤務要件を適用しないとしています。在留マニュアルは同じ箇所に、国家基幹産業・国策事業と「その他法務部長官が必要と認める場合」を挙げています。
そのため、勤務1年未満の社員を派遣する必要があるときは、まず上記の例外に当たるかを確認します。当たらない場合は、1年を満たしてから申請するのが現実的です。在職証明書、経歴証明書、履歴書で勤務期間と職務を一貫して示すことが大切です。
必須専門人材と認められないのはどのような場合ですか?
在留マニュアルは必須専門人材を3つに分けて説明しています。
| 区分 | マニュアルの説明(要旨) |
|---|---|
| 役員(Executive) | 組織管理を一次的に指揮し、意思決定に広い権限を行使し、取締役会・株主から一般的な指揮監督のみを受ける最上位の役員 |
| 上級管理者(Senior Manager) | 組織の目標・方針の策定と実施に責任を持ち、計画・指揮・監督の権限と社員の雇用・解雇権(または推薦権)を持つ者 |
| 専門家(Specialist) | その企業のサービスの研究・設計・技術・管理などに不可欠な、高度に専門的で独自の経験と知識を持つ者 |
肩書きを「マネージャー」と書くだけで、実際の権限や専門知識を示す資料がなければ、この基準を満たすとは見られにくくなります。組織図上の位置、決裁・人事の権限、担当業務の専門性を、履歴書・経歴証明書・招へい理由書で同じ内容として説明することが重要です。
韓国法人が外国人投資企業だと、なぜD-7ではないのですか?
D-7の定義には「ただし、企業投資(D-8)の資格に該当する者は除く」という但し書きがあります。そしてD-8-1(法人に投資)は、外国人投資促進法による外国人投資企業である韓国法人で経営・管理または生産・技術分野に従事しようとする必須専門人材(国内採用者を除く)の資格です。
つまり、海外本社が投資して外国人投資企業として登録した韓国の子会社に必須専門人材を送る場合は、まずD-8を検討すべきです。逆に、外国企業が支店や連絡事務所を設置して社員を送る場合がD-7の典型です。会社の形態に合わない資格で申請することは、よくある不許可の原因です。
韓国の支店・連絡事務所の設置と運営はどう証明しますか?
査証発給認定申請(外国企業の国内支店駐在)の際にマニュアルが定める添付書類は次のとおりです。
- 査証発給認定申請書、旅券、規格写真、招へい理由書
- 必須専門人材であることを立証する書類(履歴書、経歴証明書など)
- 外国所在会社等の在職証明書、派遣命令書
- 国内支店等の設置立証書類:支店または連絡事務所の設置許可書の写し、または申告受理書の写し
- 支店または連絡事務所が正常に運営されていることを立証する書類:営業資金または連絡事務所運営資金の導入実績、新規の場合は運営計画書、納税実績など
マニュアルは、出入国・外国人庁長が招へいの真正性と招へい者・被招へい者の資格を確認するため、添付書類を加減できるとしています。設置したばかりの支店であれば、運営計画書が実際の事務所・人員・資金の計画と合っている必要があります。D-8からD-7へ資格変更する場合については、新設の支店と過去に出入国管理法違反がある申請者は必ず実態調査をするよう定めています。
在留期間の延長ではどこでつまずきますか?
D-7(カ目該当者)の在留期間延長でマニュアルが求める書類は、申請書・旅券・外国人登録証、海外本社発行の派遣命令書または在職証明書、国内支店設置許可書の写しまたは連絡事務所設置許可書の写し、営業資金導入実績の証明(外国為替買入証明書、賃貸借契約書など)、個人の納税事実証明書類、滞在地の立証書類です。
よく問題になるのは個人の納税事実の証明です。マニュアルは、外国人が国内の事業場で業務を行い給与を海外本社から受け取る場合でも、租税条約等に別段の定めがある場合を除き、乙種勤労所得税の課税対象であるとしています。納税組合に加入していればその源泉徴収票を、加入していなければ総合所得税の申告後に所得金額証明を提出します。1回に付与される在留期間の上限は3年なので、延長のたびにこれらの書類が改めて確認されます。
不許可になったらどう対応しますか?
- 不許可理由の確認:通知書に書かれた理由が、上記のどの要件に当たるかをまず確認します。
- 資格の再検討:韓国法人が外国人投資企業ならD-8、韓国で直接雇用する形なら別の就労資格が合うかを見直します。
- 書類の補完:勤務期間・職務の証明、派遣命令書の派遣期間、支店の設置・運営の証明、納税の証明を互いに矛盾なくそろえます。
- 再申請の時期の判断:勤務1年のように時間がたたないと満たせない要件は、満たしてから申請します。
不許可処分を争う訴訟は弁護士の業務です。行政書士は補完書類の作成・提出と再申請の準備をお手伝いします。
公式の根拠(原文で確認)
- 法務部「在留民願 資格別案内マニュアル」(2026年9月)駐在(D-7):資格該当者と活動範囲、1回付与の在留期間上限3年、必須専門人材(役員・上級管理者・専門家)の範囲、在留期間延長の提出書類、乙種勤労所得税の案内、D-8からD-7への資格変更時の新設支店の実態調査
- 法務部「査証民願 資格別案内マニュアル」(2026年9月)D-7:1年勤務要件の例外、査証発給認定の添付書類(国内支店等の設置立証書類、正常運営の立証書類)、添付書類の加減規定。例外の金額「50万米ドル」は同マニュアル2026年4月版の原文で確認
- 法務部在留マニュアル 企業投資(D-8):D-8-1の定義(外国人投資企業である韓国法人の必須専門人材、国内採用者を除く)
- 出入国管理法施行規則第9条の2(査証等発給の基準):旅券、入国禁止の該当有無、在留資格と入国目的の適合、帰国の見込みなど
2026年10月3日に国家法令情報センター(law.go.kr)の現行条文と法務部マニュアル(2026年9月版)の原文で確認しました。改正が多いため、申請直前に改めてご確認ください。
A-One行政書士事務所がお手伝いできること
A-One行政書士事務所は、D-7の査証発給認定申請と在留期間延長に必要な書類の作成・提出代行、招へい理由書と必須専門人材の立証資料の整理、不許可後の補完書類の準備をお手伝いします。支店設置申告の段階の外国為替手続きもあわせて確認します。税務申告は税理士、不許可処分に対する訴訟は弁護士の業務です。
よくある質問
Q. 本社での勤務が1年未満でもD-7を取得できますか?
原則は1年以上の勤務です。査証マニュアルは、国家基幹産業・国策事業に従事する人と、営業資金の導入実績が50万米ドル以上の外国企業の国内支店等に派遣される必須専門人材を例外としています。例外に当たらなければ、1年を満たしてから申請するのが現実的です。
Q. 肩書きがマネージャーなら必須専門人材と認められますか?
肩書きだけでは足りません。マニュアルは役員・上級管理者・専門家を権限と知識の内容で説明しています。決裁・人事の権限や専門知識を、履歴書・経歴証明書・招へい理由書で一貫して示す必要があります。
Q. 韓国の子会社が外国人投資企業ですが、D-7で申請できますか?
D-7の定義は企業投資(D-8)に該当する者を除いています。外国人投資企業である韓国法人の必須専門人材であれば、まずD-8-1の対象かを確認してください。資格を誤ると不許可につながることがあります。
Q. 設置したばかりの支店でもD-7で社員を呼べますか?
可能です。マニュアルは、新規の支店・連絡事務所の運営計画書を正常運営の立証書類として認めています。ただし設置許可書(申告受理書)や実際の事務所・資金・人員の計画と合っている必要があります。
Q. 給与を海外本社から受け取っていれば、韓国で税金を払わなくてよいですか?
マニュアルは、国内の事業場で働き給与を海外本社から受け取る場合でも、租税条約等に別段の定めがなければ乙種勤労所得税の課税対象としています。延長時に個人の納税事実の証明が必要なので早めに確認し、申告は税理士にご相談ください。
Q. D-7の在留期間は一度にどのくらいもらえますか?
在留マニュアル上、D-7の1回付与の在留期間の上限は3年です。実際の期間は派遣期間などの審査結果で決まります。
Q. 不許可になったらすぐ再申請できますか?
理由を直さずに同じ書類で出し直すと、同じ結果になりやすいです。理由を確認して資格の選択・勤務期間・書類を補完し、そのうえで再申請の時期を決めてください。処分を争う訴訟は弁護士の業務です。
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