外国人による韓国での株式会社設立手続きと費用の完全ガイド
外国人が韓国で株式会社を設立する手続きは、外国人投資届出 → 投資資金の送金 → 法人印鑑および書類の準備 → 法院での登記 → 事業者登録 → 外国人投資企業の登録という6つのステップで進みます。投資額が1億ウォン以上であれば、外国人投資促進法に基づく外国人投資企業(FDI)として登録でき、それ未満の場合は一般的な外国資本法人として扱われます。一見シンプルに見えますが、実際には送金段階と登記後の事業者登録段階でつまずくケースが最も多くなっています。
費用は資本金(最低1億ウォン推奨)+ 登録免許税・地方教育税(資本金の0.48%、首都圏過密抑制圏域は3倍の重課)+ 公証・登記手数料 + 行政士代行費用で構成されます。ソウルに本店を置く場合、資本金1億ウォン基準で登録税だけでも約144万ウォン、公証・法務費を含めると実際の支出は200~400万ウォン程度になります。資本金とは別に発生する実費であるため、あらかじめ分けて計上しておかないと資金計画に狂いが生じます。
1. 外国人の株式会社設立、最初に決めるべき3つのこと
実務で依頼を受けた際、まず確認するのが3つのポイントです。資本金の規模、本店所在地、外国人の持株比率。この3つが決まらなければ、届出書の提出すらできません。
資本金の規模 ── 1億ウォンが基準ライン
韓国の商法上、株式会社の最低資本金は定められていません。100万ウォンでも設立は可能です。しかし、問題はここからです。外国人投資促進法上、外国人投資企業(FDI)として登録するには、1人あたり1億ウォン以上の投資が必要です。FDI登録ができなければD-8投資ビザも取得できず、外国人投資企業にのみ適用される租税減免や賃料減免も受けられません。
つまり、単にお金を入れればいいのではなく、**「1億ウォン以上を外国人名義で送金する」**という形式を整えてはじめて各種優遇が受けられるのです。
本店所在地 ── 首都圏過密抑制圏域かどうか
ソウル・仁川・京畿道の大部分は首都圏過密抑制圏域に含まれます。この地域に本店を置くと、登録免許税が3倍に重課されます。資本金1億ウォン基準で、一般地域は48万ウォンのところ、過密抑制圏域では144万ウォンになります。
節税のために地方に本店を置くケースもありますが、実際の事業所と異なる場合は虚偽登記として問題になる可能性があります。実際に事業を行う場所に設定する必要があります。
外国人持株比率 ── 100%も可能
株式会社の持分は外国人100%でも問題ありません。ただし、業種によっては外国人投資が制限される業種があります。放送、新聞、一部の農業・水産業、原子力発電などには持分上限が設けられています。一般的な貿易・IT・製造・コンサルティング業であれば、100%外国人持分がそのまま認められます。
2. 有限会社と株式会社、どちらを選ぶべきか
外国人の依頼者から最も多く寄せられる質問です。結論から言えば、将来的に投資誘致・IPO・持分譲渡の計画があれば株式会社、単独オーナーがシンプルに運営するなら有限会社が適しています。
両形態の実務上の違い
| 区分 | 株式会社 | 有限会社 |
|---|---|---|
| 出資単位 | 株式(譲渡・発行が自由) | 出資口数(譲渡に制限あり) |
| 取締役数 | 資本金10億ウォン未満なら1名可 | 1名可 |
| 監査役 | 資本金10億ウォン未満なら免除可 | 原則として不要 |
| 外部監査義務 | 資産120億ウォン等の基準充足時に発生 | 同一基準を適用(2019年以降) |
| 公示義務 | あり | 比較的少ない |
| 投資誘致の容易さ | 高い(株式発行が可能) | 低い |
| 設立費用 | やや高い(定款の公証等) | やや低い |
なぜ外国人は株式会社を選ぶことが多いのか
実務では本国の親会社 → 韓国子会社という構造を組む際、本国側から「Corporation」形態を求められるケースが多くあります。アメリカ・日本・中国の本社書類上、支店・子会社として処理するには株式会社のほうがスムーズに対応できます。むしろ有限会社だと、本国の会計法上の取り扱いが曖昧になるケースもあります。
また、追加投資家の受け入れを予定している場合は株式会社のほうが便利です。有限会社は社員総会の同意が必要なため、持分変更の手続きが煩雑になります。
3. 設立手続き6ステップの詳細解説
全体の流れは以下の表のとおりです。各ステップが順番に連動しているため、一つでも止まると後続の手続きがすべてストップします。
| ステップ | 内容 | 担当機関 | 所要日数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 外国人投資届出 | 外国為替銀行またはKOTRA | 1~2日 |
| 2 | 投資資金の送金と両替 | 外国為替銀行 | 3~7日 |
| 3 | 定款作成・公証、株金払込証明 | 公証事務所・銀行 | 2~3日 |
| 4 | 法人設立登記 | 管轄登記所 | 3~5日 |
| 5 | 事業者登録 | 管轄税務署 | 2~3日 |
| 6 | 外国人投資企業登録 | 外国為替銀行またはKOTRA | 1~2日 |
ステップ1 ── 外国人投資届出
投資家本人または代理人が外国為替銀行の支店に届出書を提出します。投資家が個人か法人かによって添付書類が異なります。個人の場合はパスポートのコピー・住所証明、法人の場合は本国の法人登記簿(公証・アポスティーユ必須)・代表者の在職証明が主な必要書類です。
通常、この段階でつまずきます。特に中国・東南アジアの投資家は、本国書類のアポスティーユまたは領事認証が漏れて却下されるケースが多く見られます。
ステップ2 ── 投資資金の送金
届出済証を受け取った後、外国人名義で韓国の口座に送金します。必ず「外国人投資目的」であることを送金電文に明記しなければなりません。一般送金として入金された場合、投資金として認められず、後のFDI登録自体が拒否されます。
送金後、銀行から「外貨買入証明書」または「資本金払込証明書」が発行されます。これが登記時の原本書類として使われます。
ステップ3 ── 定款の公証と株金払込
発起人が1名であれば定款作成はシンプルです。発起人が複数いる場合は全員の署名+公証が必要です。資本金10億ウォン未満なら公証を省略できますが、外国人の発起人が含まれる場合は本人確認の問題があるため、公証を済ませておくほうが後の手続きがスムーズに進みます。
ステップ4 ── 設立登記
管轄の地方法院登記所に設立登記を申請します。登記の届出日から2週間以内に行わなければ過料が科されます。通常3~5日で登記が完了し、この時点で法人登記簿謄本が発行されます。
ステップ5 ── 事業者登録
登記完了後、管轄の税務署に事業者登録を申請します。賃貸借契約書の原本が必須です。バーチャルオフィスやシェアオフィスであっても、賃貸人の事業者登録が有効かどうか、転貸が許可されているかを事前に確認する必要があります。この段階での却下が非常に多いです。
ステップ6 ── 外国人投資企業登録
事業者登録証が交付されたら、再度外国為替銀行を訪れ、外国人投資企業の登録を完了させます。外国人投資企業登録証明書が発行されれば、D-8ビザの申請・租税減免の申請など、すべての後続手続きが可能になります。
4. 資本金の基準とFDI登録要件
最低資本金 ── 法定最低額と実務上の最低額は異なる
商法上、株式会社の法定最低資本金は定められていません。しかし実務上の最低額は異なります。
- FDI登録目的:1人あたり1億ウォン以上
- D-8ビザ取得目的:1億ウォン以上(法務部基準)
- 租税減免対象業種:業種別に別途基準あり(先端技術業種などはさらに高額)
つまり、外国人が韓国で実際に事業を営む目的であれば、最低でも1億ウォンを用意してはじめて意味があります。
資本金の払込方法
資本金は現金払込が原則です。不動産・機械設備・知的財産権などの現物出資も可能ですが、鑑定評価・裁判所の調査人選任などの追加手続きが発生し、所要期間が2~3倍に膨らみます。初回設立時は現金で払い込み、後から増資を通じて現物出資するのが実務上最も効率的です。
共同投資における1人1億ウォンルール
投資家が複数いる場合に見落としがちなポイントです。合計1億ウォンではなく、1人あたり1億ウォンが基準です。2名が5,000万ウォンずつ出資してもFDI登録はできません。この要件を満たさないと、外国為替銀行の段階で即座に却下されます。
5. 必要書類と本国での公証実務
- パスポートのコピー(全ページ)
- 本国の住所証明書(アポスティーユまたは領事認証付き)
- 署名公証書(本人署名の真正確認)
- 外国人投資届出書
- 送金証明(SWIFT、外貨買入証明書)
- 韓国語翻訳文(翻訳者認証付き)
- 本国の法人登記簿謄本(アポスティーユ付き)
- 定款のコピー(アポスティーユ付き)
- 代表者の在職証明書
- 代表者のパスポートコピー
- 取締役会議事録(韓国子会社設立の決議)
- 委任状(代理人を選任する場合)
- 全書類の韓国語翻訳文
アポスティーユと領事認証 ── 何が違うのか
本国がアポスティーユ条約加盟国であれば、アポスティーユ1回で完了します。アメリカ・日本・オーストラリア・EU諸国の大半が該当します。中国・ベトナム・タイなどの非加盟国の場合は、本国の外務省での認証後、駐在国の韓国大使館での領事認証と2段階の手続きが必要です。
書類の有効期限
本国発行の書類は通常、発行日から3か月以内のものしか有効と認められません。早めに取得しておくと、設立手続きの時点で期限切れとなり再取得が必要になるケースがよくあります。書類準備のスケジュールは届出直前から逆算して組む必要があります。
6. 総費用の構造と項目別金額
資本金1億ウォン、ソウル本店、発起人1名を基準とした実際の支出をまとめると以下のとおりです。
| 項目 | 金額(ウォン) | 備考 |
|---|---|---|
| 登録免許税(資本金の0.4%) | 400,000 | 一般地域基準 |
| 過密抑制圏域3倍重課 | 1,200,000 | ソウル・仁川・水原など |
| 地方教育税(登録税の20%) | 80,000~240,000 | 地域により異なる |
| 定款認証手数料 | 100,000~300,000 | 公証事務所により異なる |
| 登記申請手数料 | 30,000 | 大法院インターネット登記所 |
| 法人印鑑作成 | 30,000~80,000 | 法人実印+使用印鑑 |
| 翻訳・公証費用 | 150,000~500,000 | 書類量・言語により異なる |
| 行政士/司法書士代行費用 | 1,500,000~3,000,000 | 範囲・難易度により異なる |
| 合計(ソウル) | 約300万~500万 | 資本金を除く |
資本金額に応じた登録税の例
| 資本金 | 一般地域の登録税 | 過密抑制圏域の登録税 |
|---|---|---|
| 1億ウォン | 480,000ウォン | 1,440,000ウォン |
| 3億ウォン | 1,440,000ウォン | 4,320,000ウォン |
| 5億ウォン | 2,400,000ウォン | 7,200,000ウォン |
| 10億ウォン | 4,800,000ウォン | 14,400,000ウォン |
7. 設立後に必要な事後手続き
登記と事業者登録が完了しても、会社が実際に稼働するわけではありません。法人口座の開設・社会保険への加入・D-8ビザへの切り替えまで完了させる必要があります。
法人口座の開設 ── 最もつまずきやすいステップ
2022年以降、銀行ごとに外国人法人口座の開設審査が大幅に厳格化されました。特に新韓・国民・ハナなどの主要市中銀行では、実際の事業所訪問や代表者へのインタビューまで求められます。
シェアオフィスの住所だけでは、ほぼ確実に拒否されます。実際の入居契約書、オフィスの写真、具体的な事業計画書がなければ口座自体が開設できません。口座がなければ給与の支払いも税金の納付もできません。
D-8投資ビザへの切り替え
すでに韓国に居住している外国人であれば、設立後に在留資格変更としてD-8を取得します。本国から入国する場合は、本国の韓国大使館でD-8査証の発給を受ける必要があります。外国人投資企業登録証明書・法人登記簿謄本・事業者登録証が主要書類です。
社会保険4種・源泉徴収の届出
従業員を1名でも雇用すれば、社会保険4種(国民年金・健康保険・雇用保険・労災保険)への加入は自動的に義務となります。代表者本人もD-8であれば健康保険・国民年金の加入対象です。毎月の源泉徴収申告、四半期ごとの付加価値税申告、年1回の法人税申告のスケジュールが始まります。
租税減免の申請(該当する場合)
外国人投資促進法上、先端技術業・サービス業などの一部業種については法人税・所得税の減免が可能です。減免は自動適用ではなく、別途申請が必要であり、事業開始前に申請しなければなりません。実務では設立直後にKOTRAとの協議を開始します。
8. よくあるミスと却下事由
実際に却下されたり、スケジュールが遅延したりするケースを集めてみると、パターンはほぼ共通しています。
ミス1 ── 送金電文への投資目的の記載漏れ
一般送金として処理され、FDI登録自体が拒否されます。送金前に外国為替銀行と電文の文言を事前にすり合わせておく必要があります。
ミス2 ── 本国書類のアポスティーユ漏れ
特に法人投資家の場合、本国の定款・登記簿にアポスティーユが付いておらず、受付自体ができないケースが多発しています。本国の弁護士・公証人とスケジュールを事前に調整しておくことが重要です。
ミス3 ── 賃貸借契約書の名義の問題
法人設立前に代表者の個人名義でオフィスを契約しておくケースがよくあります。この状態では事業者登録が通りません。法人設立後に法人名義で再契約するか、名義変更の特約を入れておく必要があります。
ミス4 ── 資本金の引出し時期
登記直後に資本金をすぐ親会社に還流させると、見せ金(仮装払込)として処理されます。資本金は実際の運営資金として使用する構造でなければなりません。
ミス5 ── 代表者の住所の誤記
外国人代表の本国住所が定款と登記簿で異なっていたために、登記の修正が必要になるケースが多発しています。パスポート・本国の住所証明書・定款に記載する住所は、綴りや番地に至るまで統一する必要があります。
ミス6 ── 業種コードの設定ミス
韓国標準産業分類(KSIC)コードに基づいて、外国人投資の許可可否や租税減免の可否が判断されます。事業者登録の段階で誤ったコードを選択すると、後から業種の追加・変更に手数料と時間がさらにかかります。
9. よくある質問(FAQ)
Q1. 韓国に渡航せず、リモートで株式会社を設立できますか?
可能です。**委任状(本国での公証・アポスティーユ付き)**を作成し、韓国国内の代理人に権限を委任すれば、投資届出から登記まで代理人が手続きを進めることができます。ただし、法人口座の開設とD-8ビザについては代表者本人の韓国入国が必要なステップが残ります。設立完了の時点では入国スケジュールを組んでおくのが現実的です。
Q2. 資本金5,000万ウォンでも会社を設立できますか?
設立自体は可能です。商法上の最低資本金規定がないため、100万ウォンでも株式会社を作ることができます。問題は、5,000万ウォンでは外国人投資企業(FDI)としての登録ができず、D-8投資ビザも取得できないという点です。事業活動は可能ですが、外国人の代表が韓国に長期滞在する手段がなくなってしまいます。
Q3. 発起人が外国人1名だけでも大丈夫ですか?
はい、問題ありません。韓国の商法は1人株式会社を認めています。取締役1名、株主1名で設立可能です。資本金10億ウォン未満であれば監査役の選任も不要です。ただし、本人確認・署名公証の段階では外国人1名の場合、かえって書類要件が厳しくなるため、事前準備をしっかりと行う必要があります。
Q4. ソウル以外に本店を置くと、どのくらい節約できますか?
資本金1億ウォン基準で登録税だけを見ると、ソウル144万ウォン → 地方48万ウォンで約100万ウォンの差が出ます。資本金が大きくなるほど差は拡大します。資本金10億ウォンの場合は1,440万ウォン → 480万ウォンで約960万ウォンの差額です。ただし、実際の事業所と異なる住所で登記すると虚偽記載として問題になり得るため、実際に事業を行う場所に設定する必要があります。
Q5. 設立後に本国から追加資金を送りたい場合はどうすればよいですか?
単純な送金ではなく、増資(新株発行)または借入のいずれかを選択する必要があります。増資の場合は取締役会決議・株主総会決議・変更登記が必要であり、資本金増加分に対する登録税も再度発生します。借入の場合は対外借入の届出が別途必要であり、利息支払い時には源泉徴収税の問題も伴います。いずれの方法でも、単に親会社の口座からそのまま送金すると「投資金ではない資金」として分類され、FDI持分の拡大として認められません。
10. ご相談のご案内
外国人の株式会社設立は、法務・外国為替・税務・出入国管理が同時に絡み合います。たった一つの段階でも書類間の情報にズレがあれば、全体のスケジュールが2~3週間遅れることになります。ビジョン行政士事務所では、外国人投資届出から法人登記、事業者登録、外国人投資企業登録、D-8ビザの連携まで、ワンストップで対応しております。
ビジョン行政士事務所(VISION Administrative Office)
- 電話:02-363-2251
- メール:5000meter@gmail.com
- 住所:(04614)ソウル特別市 中区 退渓路324、3階(ソンウビル)
投資資金の送金前にご連絡いただくのが、最も時間を節約できるポイントです。送金電文の文言、本国書類の準備順序、本店所在地の選定まで一緒にサポートいたします。




