外国人投資法人設立手続き 完全ガイド
外国人投資法人の設立は、①外国人投資申告(外国為替銀行)→②投資資金の送金→③法人設立登記(裁判所)→④事業者登録(税務署)→⑤外国人投資企業登録(KOTRAまたは外国為替銀行)の5段階に分かれます。外国人が1億ウォン以上を出資し、議決権のある株式の10%以上を取得して初めて外国人投資促進法上の「外国人投資」として認められ、この要件が欠けると一般の外資系会社として分類され、D-8ビザや租税減免の対象から外れます。
重要なのは順序です。申告なしに送金が先に入ると資金源の説明が複雑になり、登記前に送金が遅れると資本金払込証明が出ず登記が遅延します。実務では、申告→送金→登記→事業者登録→FIC登録を平均3〜5週間で完了することを目標にし、この日程が一段階でもずれるとビザ申請日程全体が後ろ倒しになります。
1. 外国人投資法人とは — 一般の外資系会社と何が違うのか
外国人投資促進法における「外国人投資」の定義
外国人投資促進法は、外国人が韓国法人の議決権のある株式または出資持分の10%以上を取得し、かつ投資金額が1億ウォン以上である場合を外国人投資として認めています。この2つの条件のいずれかが欠けると、外国人投資企業(Foreign-Invested Company, FIC)ではなく一般の外資系会社として分類されます。
違いは単なる分類ではなく、実質的な権利の差として現れます。FICとして登録されて初めてD-8企業投資ビザが発給され、外国人投資地域への入居、租税減免、現金支援などのインセンティブ対象となります。
FIC資格を満たさないと何を失うのか
| 区分 | 外国人投資企業(FIC) | 一般の外資系会社 |
|---|---|---|
| 最低投資額 | 1億ウォン以上 | 制限なし |
| 最低持株比率 | 10%以上 | 制限なし |
| D-8ビザ申請 | 可能 | 不可 |
| 租税減免 | 新成長技術など要件を満たせば可能 | 不可 |
| FIC登録証 | 発給される | 発給されない |
| 根拠法令 | 外国人投資促進法 | 外国為替取引法 |
実務では、この違いを知らずに1億ウォン未満で送金してしまったり、韓国人名義で90%以上を押さえて外国人持分を9%に設定する構造を組んでしまうケースがよくあります。こうなるとD-8を申請してもすぐに弾かれます。
支店・連絡事務所との比較
外国本社が韓国に進出する際の選択肢は、①外国人投資法人(現地法人)、②外国企業の国内支店、③連絡事務所の3つです。
| 区分 | 現地法人 | 国内支店 | 連絡事務所 |
|---|---|---|---|
| 法人格 | 独立法人 | 本社の一部 | 本社の一部 |
| 営利活動 | 可能 | 可能 | 不可 |
| D-8ビザ | 可能 | D-7対象 | D-7対象 |
| 根拠法令 | 外国人投資促進法 | 外国為替取引法 | 外国為替取引法 |
営利活動を行いつつ、韓国でD-8ビザにより役員が居住する予定なら、結局のところ現地法人(外国人投資法人)以外に選択肢はありません。
2. 設立前に決めるべき5つのこと — 業種・資本金・持株比率・法人形態・所在地
2-1. 業種 — 外国人投資制限業種の確認が最優先
まず確認すべきは業種です。外国人投資促進法施行令は、外国人投資禁止業種(国防、原子力発電など)と部分制限業種(新聞発行、放送、通信、農畜産業の一部など)を別途定めています。
部分制限業種は外国人持株上限が決まっており、100%外国人出資では設立できません。韓国標準産業分類(KSIC)コードを先に確定し、そのコードが制限業種に該当するかどうかを最初に確認する必要があります。
2-2. 資本金 — 1億ウォンが本当に最低ラインなのか
外国人投資促進法上の最低出資額は1億ウォンですが、実務上はこの金額がD-8ビザ審査の事実上の下限にすぎません。出入国の審査では、資本金1億ウォンで人件費・賃料・運営費を賄えるかが改めて精査されます。
月額賃料200万ウォンに従業員1名分の人件費を計上すれば、1億ウォンは6〜8か月で底をつきます。資本金の説明が弱いとD-8ビザ段階でただちに弾かれます。
2-3. 持株比率 — 単独100%か、合弁か
外国人100%出資なら意思決定は迅速ですが、韓国市場進出に必要な情報が不足します。合弁(JV)で韓国人パートナーと組めば市場へのアクセスは早くなりますが、外国人持分が10%を下回らないよう株式引受構造を事前に設計しておく必要があります。
2-4. 法人形態 — 株式会社 vs 有限会社
| 区分 | 株式会社(Co., Ltd.) | 有限会社(Yuhan Hoesa) |
|---|---|---|
| 設立の自由度 | 標準 | 定款の自由度が大きい |
| 外部監査 | 資産・売上が一定規模以上で義務 | 2018年以降は同様に適用 |
| 上場の可能性 | 可能 | 不可 |
| 対外的な認知度 | 高い | 中程度 |
外国本社が韓国子会社を単純な運営目的で設置するなら有限会社がすっきりしていますが、韓国国内取引先からの認知度や将来的な資金調達の可能性を踏まえると、株式会社が通常の選択肢になります。
2-5. 所在地 — バーチャルオフィスでも可能か
法人登記はバーチャルオフィスやシェアオフィスの住所でも可能です。ただしD-8ビザ審査では、実際に事業所が存在するかが改めて確認されます。写真、賃貸借契約書、管理費領収書まで要求されるケースが多いため、バーチャルオフィスだけで進めると、後から実事業所の確保に追加の時間がかかります。
3. 第1段階 外国人投資申告 — どこで、何を提出するか
3-1. 申告機関と申告のタイミング
外国人投資申告は、外国為替銀行(国内市中銀行の外国為替取扱店)またはKOTRA外国人投資総合支援センターで受け付けます。必ず資金送金前に申告を完了させなければなりません。申告なしに先に送金してしまうと、資金が外貨預金口座に拘束され、資本金の払い込みとして認められなくなります。
3-2. 申告時の提出書類
- 外国人投資申告書(銀行所定様式)
- 投資家の身分証(パスポートのコピー)
- 法人投資家の場合、本社の登記簿謄本(アポスティーユまたは領事認証)
- 代理人による申告の場合は委任状(公証)
- 投資資金の出所説明資料(必要に応じて)
本社の登記簿謄本は本国で発給を受け、アポスティーユまたは韓国領事館の領事認証を取得する必要があり、英文以外の場合は韓国語翻訳文を添付します。これらの書類準備だけで、本国基準で1〜2週間かかるケースが少なくありません。
3-3. 申告証の発給と有効期間
申告が受理されると、**外国人投資申告証(受付確認書)**が即日発給されます。この申告証は送金、登記、FIC登録のすべての段階で使用するため、原本を大切に保管する必要があります。
4. 第2段階 投資資金の送金と資本金払込証明
4-1. 送金経路 — 必ず外国為替銀行を通じた正式な送金
投資資金は、海外投資家本人の口座から韓国の外国為替銀行へ正式に送金される必要があります。第三者名義の送金、現金持ち込み、非公式な両替はいずれも資本金として認められません。
送金時には送金事由コードを**「外国人投資(FDI)」**と明示し、外国人投資申告証のコピーを銀行に併せて提出する必要があります。
4-2. 資本金払込証明書の発給
送金が着金すると、外国為替銀行から資本金払込保管証明書が発給されます。この証明書は裁判所登記の際に資本金払込を証明する重要書類であり、証明書がなければ登記は進行しません。
4-3. 送金タイミングの調整
| 時点 | 必須作業 | 所要期間 |
|---|---|---|
| D-day | 外国人投資申告の受付 | 当日 |
| D+1〜D+5 | 投資資金の海外送金 | 銀行営業日1〜3日 |
| 送金到着当日 | 資本金払込保管証明書の発給 | 当日 |
| 払込証明発給後 | 法人設立登記の申請 | 3〜5営業日 |
5. 第3段階 法人設立登記 — 定款・役員・登記書類
5-1. 定款の作成と公証
法人設立登記のためには、定款を作成し公証を受ける必要があります。定款の主要記載事項は、商号、目的(業種)、本店所在地、資本金、1株の金額、発行株式総数、役員構成、決算期などです。
外国人投資家が発起人となる場合、発起人の印鑑証明書の代わりに本人の署名を韓国領事館または公証人が確認した署名確認書を使用します。
5-2. 役員構成
株式会社は取締役1名以上で設立可能ですが(資本金10億ウォン未満の小規模会社特例)、外国人投資法人の場合、D-8ビザを取得する役員は登記役員(代表取締役または社内取締役)として登記されている必要があります。
代表取締役が韓国に居住しない場合、韓国人共同代表または韓国居住の役員を別途設ける構成がよく用いられます。
5-3. 登記申請書類
- 法人設立登記申請書
- 公証済みの定款
- 株式発行事項同意書
- 発起人決定書(または発起人総会議事録)
- 取締役・監査役の就任承諾書および印鑑証明書(外国人は署名確認書)
- 資本金払込保管証明書
- 外国人投資申告証のコピー
- 本店所在地決定の証憑(賃貸借契約書など)
- 登録免許税納付領収書
5-4. 登記完了後に取得できるもの
登記が完了すると、法人登記簿謄本と法人印鑑証明書の発給を受けられます。これら2つの書類は、事業者登録、FIC登録、法人口座開設のすべてで使用されます。
6. 第4段階 事業者登録と第5段階 外国人投資企業(FIC)登録
6-1. 事業者登録 — 本店所在地管轄の税務署
法人設立登記の完了後20日以内に、本店所在地管轄の税務署で事業者登録を申請する必要があります。
- 事業者登録申請書
- 法人登記簿謄本
- 法人印鑑証明書
- 定款のコピー
- 賃貸借契約書
- 外国人投資申告証のコピー
- 代表者の身分証(外国人はパスポート)
外国人代表者が外国人登録証をまだ取得していない場合はパスポートで代用可能ですが、後日外国人登録証が発給されたら事業者登録証の代表者情報を修正する必要があります。
6-2. FIC登録 — 最後の仕上げ
事業者登録が完了したら、外国人投資企業登録証の発給を申請します。登録機関は、外国人投資申告を行った外国為替銀行またはKOTRAです。
| FIC登録申請書類 | 発給元 |
|---|---|
| 外国人投資企業登録申請書 | 銀行/KOTRA様式 |
| 法人登記簿謄本 | 最高裁判所インターネット登記所 |
| 事業者登録証 | 管轄税務署 |
| 株主名簿 | 法人で作成 |
| 資本金払込保管証明書 | 外国為替銀行 |
| 外国人投資申告証 | 申告時に発給されたもの |
FIC登録証が発給されて、ようやくD-8ビザ申請、租税減免申請、外国人投資地域への入居申請が可能になります。
6-3. 全体スケジュールのまとめ
| 段階 | 機関 | 所要期間(累計) |
|---|---|---|
| 1. 外国人投資申告 | 外国為替銀行/KOTRA | 1日 |
| 2. 資金送金 | 海外 → 外国為替銀行 | 2〜5日 |
| 3. 定款公証・登記申請 | 公証事務所・裁判所 | 7〜10日 |
| 4. 事業者登録 | 管轄税務署 | 12〜15日 |
| 5. FIC登録 | 外国為替銀行/KOTRA | 15〜20日 |
上記は書類がすべて揃っている場合の最短スケジュールです。本国書類のアポスティーユや領事認証が遅れると、全体の日程が1〜2週間ほど後ろ倒しになります。
7. D-8ビザとの連携 — 法人設立とビザ日程の調整
7-1. 法人設立後のビザ申請
D-8ビザはFIC登録証が発給された後でなければ申請できません。外国人投資家(株主かつ役員)が本国でD-8ビザの査証申請を行う際に必要な書類は次のとおりです。
- 査証発給申請書、パスポート、写真
- 事業者登録証、法人登記簿謄本
- 外国人投資企業登録証
- 外国人投資申告証
- 資本金払込保管証明書、送金証明
- 事業計画書、事務所賃貸借契約書、事務所の写真
7-2. 査証発給認定書 vs 本国査証
本国で直接査証を申請することも可能ですが、韓国で査証発給認定書を先に取得し本国の領事館に提出する方法のほうが、処理期間が短く、却下率も低くなります。認定書は韓国出入国・外国人庁で発給されます。
7-3. 資本金の説明が弱いと弾かれる
実務で最も多くつまずくのは、資本金の出所と使用計画です。1億ウォンを送金した後にD-8申請を行う際、「この1億ウォンを何に、いつまでに、どう運営するのか」についての説明が不十分だと、すぐに補完要請が入ります。
8. よくある失敗とFAQ
よくある失敗の整理
1) 送金を先にして、申告を後回しにしたケース 最もよくある失敗です。送金が外貨預金に拘束され、資本金として認めてもらうには申告をやり直し、送金を再処理する必要があります。
2) 申告業種と定款業種が異なるケース 定款作成時にさまざまな業種を盛り込んだ結果、外国人投資申告書に記載した業種と異なってしまい、FIC登録で差し戻されます。
3) 資本金を登記前に引き出したケース 資本金の見せ金とみなされ、刑事処罰や登録取消にまで至る可能性があります。
4) バーチャルオフィスのみでD-8申請したケース D-8ビザ審査で実事業所の確認が取れず、却下されたり補完要請が入ったりします。
5) 外国人持株比率10%未満で設立したケース そもそもFIC資格が付与されないため、韓国人名義で設計をやり直さなければなりません。
6) 本社登記簿謄本のアポスティーユを取り忘れたケース 本国で再発給を受け、アポスティーユまでやり直す必要があるため、2〜3週間の追加が発生します。
FAQ
Q1. 資本金を1億ウォンより少なく出資してもよいですか? A. 外国人投資促進法上、外国人投資として認められるためには1億ウォン以上が最低ラインです。1億ウォン未満では一般の外資系会社として分類されるのみで、FIC登録証は発給されず、D-8ビザの申請もできません。2名以上の外国人投資家が合算して1億ウォンを満たすことは可能ですが、各自が10%以上の持分を保有して初めて全員が外国人投資家として認められます。
Q2. 韓国入国前に本国ですべての手続きを完了できますか? A. 外国人投資申告と送金、事業者登録までは委任により入国せずに進められます。ただし、法人口座の開設は銀行によって代表者本人の来店を求めるケースが多く、事務所の賃貸借契約書作成も本人または委任を受けた代理人による対面手続きが通常求められます。
Q3. 外国法人が韓国子会社に出資する場合と、個人投資家が直接出資する場合の違いは何ですか? A. 外国法人による出資では、本社登記簿謄本・財務諸表・取締役会決議書までアポスティーユまたは領事認証が追加で必要となり、書類の負担が大きくなります。個人投資家による出資はパスポートと本人確認のみで進められるため書類は簡単ですが、その代わり本人の資金源の説明がより厳しく求められます。
Q4. FIC登録後に資本金を増額するとどうなりますか? A. 資本金増額時には外国人投資の変更申告をやり直し、追加送金分について別途資本金払込証明を取得したうえで変更登記を行います。増額後はFIC登録証も更新する必要があり、その後のD-8ビザ更新時には増額された資本金が事業規模の判断に反映されます。
Q5. 設立後に外国人投資家が持分を韓国人に売却するとFIC資格はどうなりますか? A. 外国人持分が10%未満になるか、外国人投資金額が1億ウォン未満になるとFIC資格を失います。この場合、外国人投資企業の登録は抹消され、当該外国人役員のD-8ビザも資格要件を失うため、更新時の却下理由となります。持分売却の前に、ビザの在留資格変更(F-2など)を先に検討すべきです。
ご相談のご案内
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