外国人株式会社設立の手続きと費用 総まとめ(2026 実務ガイド)
外国人が韓国で株式会社(株式会社、Co., Ltd.)を設立しようとするとき、実際に詰まるポイントは登記そのものではなく、外国人投資申告と資本金送金を証明する段階です。書類はネット上にいくらでも出回っていますが、銀行で資本金が入金されたことを示す外貨買入証明書がすぐに発行されなければ、登記は一歩も進みません。そのため設立スケジュールは「登記から何日」ではなく、「送金が確定する日から何日」で組み立てる必要があります。
総費用は資本金1億ウォンを基準として政府の登録免許税・公債・登記手数料で約120万~170万ウォン、さらに司法書士・行政書士の代行料が50万~150万ウォン程度です。資本金の規模が大きくなると登録免許税は資本金の0.4%で計算されるため、資本金5億以上からは税金が費用の大半を占めます。以下の表と本文で、段階別の費用、実際にかかる日数、よくつまずくポイントを一度に整理しました。
外国人株式会社 vs 有限会社、まず押さえるべき違い
株式会社を選ぶ実務上の理由
外国人が韓国で法人を設立するとき、最もよく選ばれる形態が株式会社(Ltd., Co., Ltd., Inc.)です。D-8投資ビザを狙う場合は、株式会社の方が資本金構造と持分の証明がはるかにすっきり示せるためです。有限会社も可能ですが、本社からの送金構造が複雑であったり、海外親会社との会計連結が必要な場合には、株式会社の方が実務的に扱いやすいです。
2つの形態の実際の違い
見た目はシンプルでも、税務・持分譲渡・外資申告の面で差が出ます。以下の表に要点をまとめました。
| 項目 | 株式会社 | 有限会社 |
|---|---|---|
| 持分単位 | 株式(1株単位、譲渡が容易) | 出資持分(譲渡手続きが煩雑) |
| 取締役会・監査 | 資本金10億未満なら取締役1名で可 | 取締役のみで構成可、監査なし |
| 外部監査対象の判定 | 資産・売上基準に該当すれば対象 | 同様に適用 |
| 米国会計/IRS連結 | C-corpとしての処理が簡潔 | Check-the-boxの検討が必要 |
| 投資家の受け入れ | 株式発行で増資が容易 | 社員総会の同意が必要 |
| 実務での頻度 | 最も一般的 | 小規模支店型で好まれる |
有限会社が向いているケース
本社が日本にあり、韓国法人は単純な販売・流通のみを担う小規模支店型であれば、有限会社も悪くありません。逆に、将来の投資誘致、ストックオプション、韓国での上場可能性まで視野に入れるのであれば、株式会社でスタートするのが妥当です。
設立フロー全体を一目で
全体像:3つの関門
外国人株式会社の設立は、大きく① 外国人投資申告 → ② 資本金送金と外貨買入証明 → ③ 法人登記 → ④ 事業者登録・外資系企業登録という順序で進みます。この順序を入れ替え、先に登記から手をつけようとして絡まるケースが多いです。
段階別の所要日数
以下は平均的にかかる時間をまとめた表です。送金が当日中に着金しないことが多く、実際はもっと長くなるのが普通です。
| 段階 | 担当機関 | 実際の所要日数 | 主な成果物 |
|---|---|---|---|
| 1. 外国人投資申告 | [KOTRA](https://www.kotra.or.kr) / 外国為替銀行 | 1~2日 | 外国人投資申告受理書 |
| 2. 資本金送金 | 海外送金銀行 → 国内銀行 | 1~5日 | 外貨買入証明書 |
| 3. 残高証明の発行 | 資本金仮口座の銀行 | 当日~1日 | 残高証明書 |
| 4. 法人設立登記 | 登記所(裁判所) | 3~5営業日 | 法人登記簿謄本 |
| 5. 事業者登録 | 税務署 | 2~3営業日 | 事業者登録証 |
| 6. 外資系企業登録 | [KOTRA](https://www.kotra.or.kr) / 銀行 | 1~2日 | 外国人投資企業登録証 |
全体期間の目安
書類がすべて完璧に揃った前提で、営業日ベースで約2~3週間というのが実態に近い数字です。翻訳公証や海外書類のアポスティーユまで絡むと、4~6週間まで延びます。
準備段階:外国人投資申告と資本金送金
外国人投資申告が先になる理由
資本金が国境を越える前に、外国人投資促進法に基づく申告が先に受理されていなければなりません。申告なしに送金から始めてしまうと、そのお金は法的に「外国人投資金」ではなく単なる個人送金として扱われてしまいます。この状態では、後々のD-8ビザ切替、FIC(外資系企業)登録がすべて止まります。
外資申告の最低金額
1人あたり1億ウォン以上の投資 + 議決権株式10%以上の取得が、外国人投資促進法上の外国人投資の最低要件です。1億未満で出資した場合は法律上の外国人投資ではなく一般法人として扱われ、外資系企業向けの優遇を受けられません。
送金実務でつまずくポイント
実際によくつまずくのが、送金目的(purpose code)の入力です。海外銀行から送る際に単に「投資」とだけ書くと、受取銀行が「個人間送金」として処理してしまうことがあります。そうなると外貨買入証明書に「外国人直接投資 資本金」の文言が入らず、登記やFIC登録で書類が何度も差し戻されます。
資本金仮口座(仮受金口座)の開設
外資申告受理書を受け取った後、国内の外国為替銀行で資本金仮口座を開設します。代表取締役となる外国人のパスポート・ビザ(B-2、C-3など入国済みの状態でOK)と外資申告受理書を持参すれば、ほとんどの市中銀行で口座を開けます。外国人代表取締役が韓国に来られない場合は、韓国人の共同代表を立てるか、法務代理人への委任状で進めます。
法人登記段階:書類と実際に詰まるポイント
法人登記に必要な書類
登記所に提出する基本書類は韓国人法人と大きく変わりませんが、外国人の発起人・代表取締役・株主がいる場合は、海外書類の翻訳・公証の負担が追加で発生します。
| 区分 | 書類 | 発行元 | 有効期間 |
|---|---|---|---|
| 共通 | 定款 | 自作 + 公証 | 資本金10億未満は公証省略可 |
| 共通 | 発起人議事録・取締役会議事録 | 自作 | - |
| 共通 | 株式引受書・資本金残高証明書 | 資本金払込銀行 | 通常7日以内 |
| 外国人株主(個人) | パスポート写し公証、住所証明 | 本国公証機関 + アポスティーユ | 3~6ヶ月以内 |
| 外国人株主(法人) | 本国の法人登記簿謄本、取締役会決議書 | 本国登記所 + アポスティーユ | 3ヶ月以内 |
| 外国人代表取締役 | パスポート公証、署名鑑公証 | 本国公証機関 + アポスティーユ | 3~6ヶ月以内 |
| 外国人代表取締役 | 就任承諾書 + 印鑑(署名鑑)届 | 自作 | - |
| オフィス | 賃貸借契約書 | 貸主 | 事業者登録時に必要 |
外国人代表取締役の署名鑑の問題
外国人代表取締役は、韓国式の印鑑の代わりに**署名鑑(署名の公証)**で代用することができます。本国で公証を受けた署名鑑と、韓国国内での署名鑑の届出の両方が必要です。多くの場合、この段階で止まります。特に中国・日本の一部地域の公証役場は「株式会社発起用の署名鑑」という様式に不慣れで、見当違いの様式で発行されてくるケースがよくあります。
定款記載事項 — 外国人特有のポイント
定款で事業目的を記載するときは、外国人投資制限業種に触れないように表現を調整する必要があります。放送・通信・電気・出版・畜産・漁業など一部業種は外国人の持分上限がかかっているため、事業目的に軽率に入れると外資申告そのものが差し戻されます。一般的な流通・IT・コンサル・貿易はほとんど制限がありません。
登記申請時の実際のチェックポイント
外国人投資申告受理書 原本の受領完了
資本金送金完了 + 外貨買入証明書の発行完了
資本金仮口座の残高証明書(登記申請前7日以内に発行)
外国人株主/代表取締役のパスポート公証アポスティーユ原本
外国人代表取締役の署名鑑公証アポスティーユ原本
韓国語翻訳文(公証翻訳士の押印入り)
定款の事業目的の外資制限業種チェック
本店所在地の賃貸借契約書(実使用可否の確認)
登録免許税・地方教育税の納付領収書
登記申請書・委任状

設立後の事後手続き:事業者登録・外資系企業登録
事業者登録は登記完了後に
法人登記簿謄本が出たら、所管の税務署に事業者登録を申請します。外国人代表取締役しかいない法人では、税務署が賃貸借契約の実使用状況を実際に確認するケースが多いです。シェアオフィスの住所だけを掲げているような場合、実使用の裏付け(契約書以外にデスク・ロッカーの割当明細など)を追加で求められることがよくあります。
外資系企業(FIC)登録
事業者登録まで済んだ後に、外国人投資促進法に基づく外資系企業登録を行うことで、外国人投資企業登録証が交付されます。この登録証があって初めてD-8ビザの申請が可能になり、外資向け租税減免・雇用インセンティブの対象となります。
D-8ビザ取得までの流れ
| 順番 | 揃えるべき書類 | 用途 |
|---|---|---|
| 1 | 法人登記簿謄本 | 法人の存在を証明 |
| 2 | 事業者登録証 | 税務上の営業可能状態を証明 |
| 3 | 外国人投資企業登録証 | D-8査証申請のコア証憑 |
| 4 | 外貨買入証明書・株主名簿 | 1億以上の資本金・10%持分を証明 |
| 5 | 事業計画書 | 事業の実在性・持続性を説明 |
口座開設と法人カード
事業者登録後に法人本口座を開設し、資本金仮口座から資金を移管します。この際、銀行は実質所有者(UBO)の確認とマネーロンダリング対策(AML)関連書類を改めて要求します。外国人代表が韓国にいない状態で口座開設を進めると、ほとんど差し戻しを受けるため、代表が韓国に滞在している間にまとめて一度に処理するのが実務上もっともスムーズです。
実際にかかる費用の総まとめ
政府の税金・手数料(資本金により変動)
登録免許税は資本金の0.4%(首都圏過密抑制圏域は3倍重課、つまり1.2%)、地方教育税は登録免許税の20%です。本店を首都圏過密抑制圏域に置く外国人法人が最も多いため、実務上は重課税率を基準に見積もっておくのが無難です。
| 資本金 | 登録免許税(過密3倍) | 地方教育税 | 公債・登記手数料など | 税金・手数料合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1億ウォン | 約120万ウォン | 約24万ウォン | 約10~20万ウォン | 約154~164万ウォン |
| 3億ウォン | 約360万ウォン | 約72万ウォン | 約15~25万ウォン | 約447~457万ウォン |
| 5億ウォン | 約600万ウォン | 約120万ウォン | 約20~30万ウォン | 約740~750万ウォン |
| 10億ウォン | 約1,200万ウォン | 約240万ウォン | 約30~50万ウォン | 約1,470~1,490万ウォン |
実費・代行料
政府の税金以外に実際に支出するお金は、翻訳・公証・アポスティーユ・代行料などです。
| 項目 | 実務相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 定款公証 | 約10~30万ウォン | 資本金10億未満は省略可 |
| 翻訳公証(1件) | 約5~15万ウォン | 書類数に応じて増加 |
| 本国公証・アポスティーユ | 国別に約10~30万ウォン | 本国公証役場 + 外務省 |
| 法人印・印鑑 | 約3~10万ウォン | 判子屋 / 材質により差 |
| 登記代行料 | 約50~150万ウォン | 司法書士/行政書士事務所により異なる |
| 外資申告代行料 | 約30~80万ウォン | 単独依頼の場合 |
| D-8ビザパッケージ | 約100~300万ウォン | 事業計画書設計込み |
総費用シミュレーション(資本金1億、首都圏)
政府税金・手数料(約160万) + 実費(約50万) + 登記+外資代行(約120万)を合算すると、おおよそ330万~400万ウォン水準が実際の支出に近いです。ここにD-8ビザパッケージまで一緒に依頼すると、合計450万~700万ウォンが現実的なレンジとなります。
費用を削れるポイントと、削ってはいけないポイント
翻訳・公証・アポスティーユは削る余地がほぼありません。むしろ安く翻訳したせいで用語を誤り、登記が差し戻されれば費用は2倍になります。代行料は事務所によって差が大きいですが、外資申告・登記・FIC登録・ビザまで一連の流れでまとめて処理すると、重複チェックが減って合計額が下がるケースが多いです。
よくあるミスと予防策
ミス1. 先に送金して、外資申告を後回しにする
最もよくある事故です。外国人投資申告なしに先に1億を送金すると、銀行はそのお金を「直接投資の資本金」として分類してくれません。外貨買入証明書が通常送金として発行されてしまうと、登記後にD-8ビザが却下される決定的な理由になります。必ず外資申告 → 送金 → 外貨買入証明書の順序を守らなければなりません。
ミス2. パスポート公証だけ済ませてアポスティーユを忘れる
海外で公証だけ受けて、アポスティーユなしで送ってくるケースが多いです。韓国の登記所は公証だけの書類を受理しません。アポスティーユ条約未加盟国(例:カナダの一部州、中東の一部国家など)は領事認証で代替する必要があります。国別の処理方式については、駐在国の韓国領事館への確認が必要です。
ミス3. 事業目的に制限業種を混ぜ込む
「念のため入れておこう」という発想で、放送・通信・セキュリティサービス・畜産・出版業を定款目的に一緒に入れると、外資申告が差し戻されたり、持分比率の制限がかかったりします。定款は実際に行う事業を中心に絞って書き、拡張は後から変更登記で行うのがすっきりします。
ミス4. バーチャルオフィス・シェアオフィスだけで押し切ろうとする
事業者登録の段階で税務署の現地確認が入ると、シェアオフィスだけでは通しづらいケースが増えています。特に貿易・輸入・卸売業種では、現場の倉庫や実際の什器配置を求められることもあります。シェアオフィスを使うなら、専用個室・郵便物受取可能・入館証発行の条件付き商品を選んだ方がよいです。
ミス5. 外資系企業登録を後回しにしてビザ申請から先に行う
外国人投資企業登録証なしでD-8の申請を出す事例があります。入国管理局ではほとんどが補正要求または差し戻しになります。登記 → 事業者登録 → FIC登録 → D-8の順序を守れば、時間のロスが減ります。
FAQ 5選
Q1. 資本金1億ウォンは必ず現金でなければなりませんか? 現物出資はどうなりますか?
原則として現金送金が最もすっきりします。現物出資(機材・知的財産権など)も外国人投資として認められますが、鑑定評価書と鑑定人の指定が別途必要になり、外貨買入証明書の代わりに搬入の裏付け・価値評価の裏付けで代替しなければなりません。実務上は時間とコストがさらにかかるため、小規模法人のほとんどは現金を選びます。
Q2. 外国人代表取締役が単独で100%の持分を保有してもよいですか?
可能です。外国人投資促進法上の1人1億以上・持分10%以上の要件を満たせば、100%外国人単独出資の株式会社も設立できます。ただし、特定業種(放送・通信など)は持分上限があり、100%出資は不可となります。事業目的の業種別の外資制限の有無については、産業通商資源部および所管機関への確認が必要です。
Q3. 資本金の払込後、すぐに運転資金として使ってもよいですか?
法人本口座への移管後は自由に使えます。ただしD-8ビザ審査を控えているのであれば、設立直後から資本金がゼロの通帳状態は入国管理局から減点要素として見られます。少なくともビザ申請時点までは、実際の事業に使った流れ(賃料、初期備品、マーケティングなど)として残っていなければ説明がつきません。
Q4. 本社(海外法人)が株主の場合と、個人外国人が株主の場合とで、手続きは大きく異なりますか?
書類の量は本社が株主のときの方が多くなります。本社の法人登記簿謄本・取締役会決議書・授権書がすべて本国公証 + アポスティーユで準備されなければなりません。期間も平均1~2週間ほど長くかかります。その代わり、本社が株主であればD-8ビザ審査で「実体のある投資」として認識されるメリットがあります。
Q5. 設立だけして、当面は人を雇わずに6ヶ月ほど置いておきたいのですが、問題ないでしょうか?
法人自体は維持できます。ただし、D-8の延長審査の際、売上・雇用がゼロの状態が長期化すると延長が難しくなります。また、付加価値税申告、源泉徴収税申告、法人税申告は売上の有無にかかわらず行わなければなりません。未申告・無実績で放置すると、加算税や職権廃業のリスクが積み上がります。
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