外国法人の法定休日における休日労働手当、実際の計算と未払いリスク
外国法人であっても、韓国で常時5人以上の労働者を雇用している場合、法定休日に勤務させた際には通常賃金の1.5倍(8時間を超える部分は2倍)を加算して支払う必要があります。 この規定は、韓国人・外国人労働者、本社派遣者、現地採用者のすべてに同様に適用されます。 韓国に進出している外資系本社・支社・連絡事務所・有限会社・株式会社といった事業所はすべて同じ義務を負い、未払いの場合は労働基準法違反として刑事処罰の対象になります。
本記事では、適用対象の判断、加算手当の計算構造、休日振替・代償休暇制度、実務で最もこじれやすいポイント、FAQまでを扱います。
外国法人にも適用される韓国の労働基準法
法人形態を問わず適用される原則
ポイントはこれです。 韓国国内で労働の提供を受ける事業所は、外国資本・外国経営陣であるかどうかに関係なく 労働基準法 の適用を受けます。 株式会社・有限会社・外国企業の韓国支社・連絡事務所、いずれも同じです。 現場では「本社がアメリカだからアメリカの労働法に従う」と主張するケースが散見されますが、実際の審査では受け入れられません。 労働提供地が韓国であれば、韓国法が強行規定として適用されます。
まず確認すべきは「常時5人以上」基準
最初に確認すべきは常時労働者数です。 5人以上であれば休日労働の加算手当条項がそのまま適用され、5人未満であれば加算手当の義務は免除されますが、休日そのものは付与しなければなりません。 常時労働者数の算定は単純な正社員の人数ではなく、算定事由発生日直前1か月間に使用した労働者の延べ人数を稼働日数で割る方式です。 派遣社員・外国人短期滞在者・インターンを含めるかどうかでよく行き詰まります。 ご自身の事業所が5人基準を満たしているか判断が難しい場合は、相談を通じて正確な算定を確認してください。
法定休日の範囲はどこまでか
官公庁の祝日 = 法定休日に統一
2022年から、5人以上の民間事業所においても 官公庁の祝日に関する規定 に基づくすべての祝日が有給休日として保障されています。 旧正月・秋夕(チュソク)連休、三一節、こどもの日、光復節、開天節、ハングルの日、クリスマス、釈迦誕生日など、カレンダーで赤い日として表示される日のほとんどが含まれます。 振替休日も同じく有給休日です。 勤労者の日(5月1日)は 勤労者の日制定に関する法律 に基づいて別途有給休日となり、祝日規定とは根拠法令が異なります。
約定休日との区別が実務の要
法定休日以外に、会社の創立記念日や労組指定日のような約定休日は、就業規則・労働契約で定めた場合にのみ有効です。 約定休日は加算手当義務が法律で強制されているわけではありませんが、就業規則に「有給休日とする」と明記している場合は、その規定どおりに支給しなければなりません。 まさにこの部分で、外資系本社の標準就業規則をそのまま韓国語に翻訳しただけで使い、こじれてしまうケースが多くあります。
| 区分 | 根拠 | 加算手当義務 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 法定休日 | 官公庁の祝日規定 | 5人以上で義務 | 振替休日を含む |
| 勤労者の日 | 勤労者の日法 | 事業所規模を問わず義務 | 5人未満にも適用 |
| 週休日 | 労働基準法第55条 | 5人以上で義務 | 通常は日曜日 |
| 約定休日 | 就業規則・契約 | 規定に従う | 明記の有無が要 |
休日労働の加算手当の計算構造
8時間を境に変わる加算率
休日労働の加算手当は 労働基準法第56条 で定められています。 8時間以内の休日労働は通常賃金の50%を加算して1.5倍で支給します。 8時間を超える時間は100%を加算して2倍で支給します。 深夜(22時〜翌6時)が重なる場合は、深夜労働加算50%がさらに上乗せされます。 つまり、休日 + 8時間超 + 深夜がすべて重なると、通常賃金の2.5倍まで上がります。
通常賃金の算定でよく詰まる
実務で最も詰まるのは加算率ではなく通常賃金の算定です。 基本給以外に、定期賞与、食費手当、職責手当のうちどれが通常賃金に含まれるかで判断が分かれます。 大法院全員合議体の判例以降、定期性・一律性・固定性の基準で判断されますが、外資系でよく使われるインセンティブ・RSU・滞在手当が通常賃金に含まれるかどうかは事例ごとに異なって判断されます。 ここが弱いと、加算手当そのものがすべて誤って算定されてしまいます。 正確な通常賃金の構成は事業所の賃金構造を見て判断する必要があるため、相談で確認してください。
| 労働区分 | 加算率 | 支給倍率 |
|---|---|---|
| 休日8時間以内 | 50% | 1.5倍 |
| 休日8時間超過分 | 100% | 2.0倍 |
| 休日 + 深夜(22〜06時) | 50% + 50% | 2.0倍 |
| 休日8h超過 + 深夜 | 100% + 50% | 2.5倍 |
注意: 包括賃金制で契約していても、休日・深夜の加算手当が賃金に明確に含まれていなければ、別途支払う義務が残ります。外資系でよくある「all-inclusive monthly salary」という文言だけでは認められません。
休日振替と代償休暇制度はどう違うか
休日振替は事前合意が要
休日振替は、本来の休日に勤務させ、別の労働日を休日に置き換える制度です。 祝日の休日振替は労働者代表との書面合意が必須であり、個別同意だけでは効力がありません。 書面合意なしに「来週休ませてあげる」と口頭で処理してしまうと、加算手当未払いとしてそのまま摘発されます。 たいていこの段階で引っかかります。
代償休暇制度は事後処理方式
代償休暇制度は、休日労働を行った後に加算手当の代わりに休暇で補償する制度です。 加算率を含めた時間分の休暇を与えなければなりません。 つまり、休日に8時間勤務した場合は12時間(1.5倍)分の代償休暇を付与する必要があります。 これも労働者代表との書面合意が前提です。
実務のヒント: 休日振替と代償休暇制度は名前が似ていて混同されやすいですが、事前・事後の時点と合意要件が異なります。外国人役職員の本国における休暇の使い方と衝突するケースも多く、契約書の段階で整理しておくのが望ましいです。
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未払い時の刑事リスクと是正手続き
労働基準法違反の実際の処罰
休日労働の加算手当の未払いは 労働基準法第109条 に基づき、3年以下の懲役または3千万ウォン以下の罰金に該当します。 反意思不罰罪のため、労働者が処罰を望まないと明示した場合は刑事処罰を免れることができますが、未払い賃金そのものはそのまま支払う必要があります。 外国人代表取締役・外国人役員であっても同様に処罰対象となり、出国制限事由として活用された事例もあります。
労働庁への陳情・告訴の流れ
実務では、退職後の賃金未払い陳情として表面化することが最も多いです。 雇用労働部 の管轄支庁に陳情が受理されると、事業主の出頭調査、是正指示、未是正の場合の司法処理という順で進みます。 外資系本社へ報告が上がる段階で評判リスクが極めて大きくなるため、陳情段階での迅速な対応が必要です。
公訴時効と請求権の消滅時効
賃金債権の消滅時効は3年ですが、刑事の公訴時効は5年です。 つまり、退職後3年が過ぎると民事上の請求は難しくても、刑事陳情は5年まで可能です。 このタイムラグのため、外資系では時に予想外の陳情にさらされることがあります。

外国法人がよく見落とすポイント
本社標準ポリシーの限界
書類よりも重要なのは、韓国労働法と本社ポリシーの衝突点をあらかじめ識別することです。 グローバルHRポリシーのPTO(Paid Time Off)統合運用、無給安息休暇、flexible holidayポリシーは、韓国の法定休日有給原則としばしば衝突します。 本社ポリシーに「年間の休日は会社指定日とする」という条項があっても、韓国法上の法定休日を無給に切り替えることはできません。
外国人役員・管理職も適用対象なのか
労働基準法上の労働者性の判断は、肩書きではなく使用従属関係で行われます。 登記役員であっても実質が労働者であれば適用され、部長・取締役の肩書きであっても使用者側の地位なら除外されます。 外国人C-level役員が自身を「労働者ではない」と認識しており、退職時にトラブルに発展するケースがよくあります。 ご自身のケースにおける労働者性の判断は、契約構造と実際の業務形態を併せて見る必要があります。
ビザ別の特殊事情
E-7・D-7・D-8ビザの所持者は、いずれも韓国労働基準法の適用対象です。 ただし、D-8(投資ビザ)所持者が自ら出資した法人の代表として登記されている場合、本人の労働者性は別途の判断が必要です。 ハイコリア の在留資格と労働基準法上の地位は別物として捉えなければならない点を、見落としてはいけません。
実務チェックリスト
- 常時労働者5人以上に該当するかの算定が完了している
- 就業規則に法定休日・約定休日の区分が明記されている
- 通常賃金の構成項目を再点検済み(賞与・手当の包含可否)
- 休日振替・代償休暇制度の利用時、労働者代表との書面合意を保管している
- 包括賃金契約書における加算手当の明示項目を点検済み
- 外国人役職員契約書の英文・韓国語の整合性を確認済み
- 賃金台帳に休日・深夜・延長の区分が記載されている
よくある質問(FAQ)
Q1. 外国人1人代表のみの法人にも加算手当の義務はありますか?
労働者がいなければ労働基準法の適用そのものがありません。 ただし、外国人1人 + 韓国人従業員1人でも、その従業員に対する休日・賃金の義務は発生します。 5人未満であれば加算手当の義務は免除されますが、有給休日付与義務は残ります。
Q2. 年俸制で契約すれば休日労働手当を別途支給しなくても構いませんか?
年俸制であること自体が加算手当の支給義務を免除するわけではありません。 年俸に休日・延長・深夜手当が含まれていることが契約書・賃金明細書で明確に区分されている必要があり、実際の労働時間と比較して不足する場合は差額を支給しなければなりません。
Q3. 外国人従業員が韓国の祝日が本国の休日と重ならないからと自ら出勤を申し出た場合、加算手当を支払わなくても構いませんか?
労働者の同意や自発的な申し出に関係なく、休日労働の加算手当は強行規定です。 放棄の取り決めも無効です。 労働が実際に行われた以上、加算手当は発生します。
Q4. 本社がアメリカ・日本にあり、韓国の従業員は遠隔で本社の指揮を受けている場合、韓国の祝日は適用されますか?
労働の提供地が韓国であれば、韓国の労働基準法が適用されます。 本社の所在地、給与の送金国、契約上の準拠法の表示にかかわらず、強行規定は適用されます。 この点が最もよく誤解されるところです。
Q5. 休日振替の合意書を英文のみで作成しても効力はありますか?
言語そのものを理由に無効になるわけではありませんが、労働者代表の選出手続き・書面合意の要件・合意内容の特定性が満たされている必要があります。 実務では韓国語・英文の併記が推奨され、紛争の際は韓国語版を基準として解釈するという条項を入れておくのが安全です。
Q6. 加算手当を一定額で固定支給する「包括賃金」が認められる条件は何ですか?
業務の性質上、労働時間の算定が困難であること、労働者に不利益がないこと、加算手当が明確に分けて表示されていること、が必要です。 一般事務職においては、包括賃金が認められる範囲は非常に狭くなりました。 ご自身の事業所における包括賃金の有効性は、賃金明細の構成を見て判断する必要があります。
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法定休日の休日労働手当は、計算式さえ分かれば終わる問題ではありません。 通常賃金の構成、包括賃金の有効性、休日振替の手続き、外国人役員の労働者性の判断まで、事業所ごとに結果が分かれます。 未払いが積み重なってから手を付けると、刑事・民事の両面で負担が大きくなるため、点検は早いほど有利です。
費用は事例ごとに異なるため、無料相談の際に正確にご案内します。
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