韓国での投資プロジェクト失敗後のビザ対応 – D-8在留資格の維持と変更の実務
事業に失敗しても、その日のうちにD-8ビザが取り消されるわけではありません。ただし法人を廃業・清算した時点で在留資格の土台そのものが消えるため、廃業届よりも先に「どの資格へ移るか」を決めておく必要があります。
対象となるのは、外国人投資企業を設立してD-8(企業投資)を取得したものの、売上不振、投資金の枯渇、共同経営者との紛争、減資・清算手続きに入ってしまった投資家の方です。
以下では、在留資格が実際に揺らぐタイミング、期限が定められた届出義務、D-10・E-7・再投資という変更ルート、そして審査で結果が分かれる具体的なポイントを整理します。
事業の失敗がD-8在留資格に与える実際の影響
廃業と在留資格は別々に動きます
D-8は出入国管理法施行令別表1の2に基づき、外国人投資促進法上の外国人投資企業における経営・管理活動を前提として付与される資格です。
法人が消滅すれば、その前提が崩れます。
在留期間が1年以上残っていても、資格の根拠が失われた状態です。「残りの期間はそのまま使える」と考えると、そこから話がこじれます。
外国人投資企業の登録抹消が先に表面化します
実務では、出入国当局よりもKOTRAインベスト・コリアや外国為替銀行の側で先にシグナルが出ます。
外国人投資促進法第21条に基づく外国人投資企業の登録が抹消されると、その情報が出入国の審査段階で確認されます。
登録が抹消された状態で在留期間の延長を申請すると、たいていはこの段階で止まります。
実際につまずきやすいタイミング
最も多いのは、廃業届を先に出してからビザを調べ始めるパターンです。
廃業日を基準に資格該当性が切れるため、その後にD-10やE-7へ移ろうとすると、空白期間について説明する負担が上乗せされます。
注意: 事業の失敗そのものが制裁の理由になるわけではありません。問題は、失敗した後に届出義務と資格変更を取りこぼすところから生じます。
廃業・清算の前に済ませるべき届出義務
期限が決まっている変更届出
出入国管理法第35条に基づく外国人登録事項変更届出は、事由発生日から14日以内が原則です。
法人名称の変更、所在地の移転、代表者の変更、所属機関の消滅などがこれに該当します。
届出自体は簡単に見えますが、この記録が後の変更審査で誠実性を判断する材料として使われます。
投資金の回収と外国為替の届出
減資や清算によって投資元本を回収する場合、外国為替取引の手続きと税務の整理が同時に絡んできます。
海外へ出た資金の流れと国内で費消された流れが噛み合っていないと、その後に再投資をしても資金源の説明が弱くなります。
| 区分 | 処理内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 外国人登録事項変更届出 | 所属機関の変更・消滅の届出 | 事由発生日から14日以内 |
| 外国人投資企業の登録 | 変更または抹消の届出 | 外国為替銀行・KOTRAで受付 |
| 法人の廃業・解散 | 税務署への廃業届、法人の解散・清算登記 | 清算結了まで期間を要する |
| 在留資格の変更 | D-10・E-7などへの変更許可申請 | 出入国管理法第24条 |
| 投資金回収の送金 | 外国為替取引の届出・立証資料 | 指定取引外国為替銀行で確認 |
処理の順序は持分構成と清算方法によって変わり、順番を誤ると一つの段階をやり直すことになる場合があります。
D-8の後に選べる変更ルート
D-10(求職・技術創業準備)へ移る
最もよく使われる緩衝装置です。
学位や職歴、韓国での在留履歴に応じて点数制の要件を検討することになり、事業をたたんだ直後の在留の空白を防ぐ用途で活用されます。
D-10の状態で再投資を準備し、再びD-8へ戻るルートも実務ではよく見られます。
E-7(特定活動)への就労変更
韓国企業に採用される場合は、E-7への変更を検討します。
専攻・職歴と職種コードのつながりが弱いと、この部分で結果が分かれます。
自身が設立した法人の業種と新しい雇用主の職種が異なると、説明の負担が大きくなります。
再投資によるD-8の維持
既存法人を整理したうえで、新規法人について改めて外国人投資の届出を行う方法です。
この場合は、新規投資金の出所と、以前の事業が失敗した理由を併せて説明する必要があります。
同じ失敗を繰り返さない根拠が事業計画書に表れていなければならず、書類の量が多くてもこの説明が不足していると審査は長引きます。
| 変更ルート | 主な要件 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| D-10 求職 | 点数制基準の充足、求職・創業計画 | 在留の空白を防ぐ用途で活用 |
| D-10 技術創業準備 | 創業移民関連の要件を検討 | 事業アイデアの具体性が求められる |
| E-7 特定活動 | 雇用契約、専攻・職歴との関連性 | 職種コードの適合性で分かれる |
| D-8 再投資 | 新規FDIの届出・登録 | 資金源と失敗理由の疎明 |
| F-2系列 | 在留履歴・点数要件 | 従前のD-8期間が算入される範囲を確認 |
点数制の配点や認定項目は改正が頻繁なため、ご自身の経歴が今年の基準で何点になるかは、相談を通じて確認したほうが正確です。
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実際の審査で結果が分かれるポイント
投資金がどこへ流れたか
審査でまず見られるのは、廃業したかどうかではなく、投資金の使途です。
オフィスの賃借、人件費、設備、在庫といった事業の実体があった痕跡が残っていれば、失敗として受け止められます。
口座に入金された直後にそのまま出ていった記録しかない場合は、投資実績そのものが問い直されます。
廃業理由をどう書くか
「経営難」の一言で終わらせては説明として弱いです。
取引先の離脱、許認可の遅延、原材料単価の変動のように、外部要因と内部判断を分けて書くと、変更審査での説得力が変わります。
最近の類似案件では、廃業理由の整理の仕方を変えただけで補正要求なく進んだケースもありました。どの資料を添付するかは案件ごとに異なります。
実務のヒント: 廃業を決める前に、税務資料と給与支払い記録をあらかじめ確保しておいてください。清算が終わった後では、資料を集め直すのが格段に難しくなります。

状況別の対応シナリオ
売上はないが法人は存続している場合
法人を維持したまま在留期間の延長を試みる方法です。
売上不振そのものよりも、事業を続ける意思と今後の計画が見て取れるかが見られます。
従業員の雇用の有無、オフィスの維持状況が判断材料になります。
完全清算に入っている場合
清算登記が完了する前に変更申請を済ませておくのが安全です。
在留期間の満了が近いと、段取りはさらにタイトになります。
共同経営者との紛争で持分を譲渡した場合
持分の譲渡によって投資金の要件が崩れるかどうかを、まず確認します。
譲渡後も要件を維持できる構成が可能な事例もあり、この判断は株主構成と投資届出の内容を併せて見なければ出てきません。
| 状況 | 優先して検討する方向 | 緊急度 |
|---|---|---|
| 法人を維持・売上不振 | 在留期間の延長+事業計画の補強 | 満了の4か月前 |
| 廃業を決める直前 | 変更ルートを確定してから廃業 | 廃業前 |
| 清算の進行中 | D-10などへの変更許可を優先 | 直ちに |
| 持分の譲渡 | 投資要件を維持できるか確認 | 譲渡契約前 |
| すでに廃業済み | 空白の疎明+変更申請 | 直ちに |
見落としやすい点とチェックリスト
よくある3つの誤り
- 在留期間が残っているから大丈夫だと判断し、届出を先延ばしにするケース
- 廃業届と法人の解散登記を同じ手続きだと誤解するケース
- 再投資の資金を本国から直接送金し、外国為替の届出手続きを抜かしてしまうケース
廃業を決める前のチェックリスト
- 現在の在留期間の満了日を確認
- 外国人投資企業の登録状況を確認
- 投資金の使途を整理(口座、税金計算書、給与台帳)
- 四大保険の資格喪失届の提出予定日を確認
- 変更先として目指す資格の選定(D-10 / E-7 / 再投資)
- 配偶者・子の同伴資格(F-3)との連動の有無を確認
同伴のご家族がいる場合、主たる在留者の資格が変わった瞬間に、家族の資格も一緒に揺らぎます。
家族構成によって処理の順序が変わるため、ご自身の案件の順番は個別の検討を経る必要があります。
費用は案件ごとに異なるため、無料相談の際に正確にご案内いたします。
よくある質問
Q1. 法人を廃業すると、D-8ビザはすぐに取り消されますか?
即座に自動で取り消される形ではありませんが、資格の根拠が失われた状態になります。
その状態で放置すると、在留期間の延長が不許可になったり、資格取消しの手続きにつながったりする可能性があります。
Q2. 事業に失敗した履歴があると、二度とD-8は取得できませんか?
失敗の履歴だけで再申請が閉ざされることはありません。
以前の投資金が実際に事業へ使われたか、新しい事業計画が以前とどう違うのかが判断基準になります。
Q3. 廃業後、どのくらい早く資格を変更すべきですか?
基準になるのは、在留期間の満了日と廃業日のうち先に来るほうです。
空白が長引くほど疎明資料が増えるため、廃業前に準備しておくのが最も有利です。
Q4. 投資金を本国へ回収しながら、D-10へ変更できますか?
可能な組み立て方はあります。
ただし、回収の時期と資格変更の申請時期が重なると投資実績の判断が複雑になるため、まずは順序の調整から検討する必要があります。
Q5. 共同経営者が持分を買い取ると、私のD-8はどうなりますか?
自分名義の投資金が要件を下回るかどうかが核心です。
株主名簿と外国人投資の届出内容を突き合わせて初めて判断が出ます。
Q6. 処理にはどのくらい期間がかかりますか?
管轄の出入国・外国人庁(事務所)ごとに処理のスピードが異なります。
受付可能な管轄と最も早いルートを確認したうえで進めさせていただきます。
専門家への相談をご希望ですか?
事業の失敗後のビザ対応は、廃業手続き、外国為替の届出、在留資格の変更が互いに噛み合っているため、順序を一度誤ると元に戻すのが困難です。
在留期間の満了が近い状態だと、取りうる選択肢は一気に狭まります。
法令や点数制の基準は改正が頻繁なため、管轄機関での確認が必要です。
ビジョン行政士事務所 (VISION Administrative Office)
- 電話: 02-363-2251
- メール: [email protected]
- カカオトーク: alexkorea
- 住所: (04614) ソウル特別市中区退渓路324、3階(ソンウビル)
ビジョン行政士事務所のサービスのご案内
- D-8の在留期間延長および資格変更の代理
- 廃業・清算段階における在留資格の変更設計(D-10 / E-7 / 再投資)
- 外国人投資企業の登録変更・抹消の支援
- 新規の外国人投資届出および法人設立の代行
- 事業計画書および投資金の疎明資料の作成支援
- 同伴家族(F-3)の資格連動の検討
参考機関: ハイコリア · 法務部 出入国・外国人政策本部 · 国家法令情報センター · 産業通商資源部
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