外国人支店 vs 法人設立の比較 — 実務で分かれる重要ポイント
外国本社の韓国進出においては、支店と法人のどちらの形態を選ぶかによって、税務、資金送金、ビザ発給、責任範囲がすべて変わってきます。
売上規模が小さく市場調査段階であれば支店のほうが手軽ですが、外国人投資の認定とD-8ビザの発給を狙うのであれば、法人がほぼ唯一の選択肢となります。
本記事では、両形態の法的性格、税務処理、資金フロー、ビザの可否、実務でよく詰まりやすいポイントを比較します。
外国人支店と法人の法的性格の違い
支店は本社の一部、法人は別人格
支店は外国本社の韓国内営業所です。
法的には別会社ではなく本社の延長線上にあり、すべての権利と義務は本社に帰属します。
一方、法人は韓国商法に基づいて設立される独立した会社です。
本社が100%の持分を保有していても、韓国法人は別個の法主体として扱われます。
この違いが実際に最も大きく現れるのが責任範囲です。
支店で発生した債務は本社が直接負担しますが、法人は本社の出資金額の範囲内でのみ責任を負います。
登記手続きも出発点が異なる
法人は大韓民国法院登記所で設立登記を行い、外国人投資促進法に基づく外国人投資申告が先行します。
支店は外国為替取引法上の外国企業国内支社設置申告が出発点となり、その後に登記手続きが続きます。
申告窓口も分かれます。
法人はKOTRA Invest KOREAまたは外国為替銀行を通じた外国人投資申告が中心であり、支店は外国為替銀行または企画財政部への申告対象です。
注意: 支店の中でも**営業活動を行う支店(Branch)と連絡事務所(Liaison Office)**は異なります。連絡事務所は営業・売上活動が禁止されており、市場調査・連絡業務のみ可能です。
税務処理で実務が最も分かれるポイント
法人税の課税範囲が異なる
法人は韓国で発生した所得全体に対して韓国法人税を納めます。
支店は本社の一部ですが、韓国内の事業場で発生した所得に限り韓国法人税の申告対象となります。
表面上は似ているように見えても、実務では本社経費の配分が大きな変数になります。
本社が韓国支店の営業のために支出した経費を、どこまで韓国の損金として認められるか — この部分でよく詰まります。
支店税(Branch Tax)という追加変数
韓国と租税条約を締結している一部の国の支店には、本社送金時に支店税が追加で課される場合があります。
法人は配当送金時に源泉徴収のみが発生しますが、支店は送金そのものに別途の税負担がかかる仕組みです。
本社がどの国にあるかによって結果が大きく変わるため、租税条約の確認が最優先です。
実務のコツ: 米国・日本・中国など主要国に本社がある場合は、租税条約上の支店税適用の有無を真っ先に確認してください。これ一つで形態選択がひっくり返るケースは珍しくありません。
付加価値税・源泉税はほぼ同じ
付加価値税の申告、従業員の社会保険(4大保険)、源泉税処理は、いずれの形態も同様に韓国の税法に従います。
この部分での違いはほとんどありません。
資金フローと外国人投資の認定可否
法人のみが外国人投資企業として認定
外国人投資促進法上の外国人投資は、法人形態に限り認定されます。
支店は外国為替取引法上の申告対象であるだけで、外国人投資企業ではありません。
この違いは単なる分類の話ではなく、実際の優遇措置に直結します。
外国人投資企業として登録されると、租税減免、外国人役職員のビザ、立地支援など、外国人投資促進法上の制度を活用することができます。
D-8企業投資ビザの可否
ここで最も大きな差が出ます。
D-8ビザは外国人投資企業の必須専門人材に発給されるもので、法人形態でなければ事実上発給を受けることはできません。
支店に派遣される外国人にはD-7(駐在)ビザが一般的で、D-7は本社勤務1年以上などの別途要件が課されます。
ハイコリアのD-8、D-7案内を比較してみると、要件の差がはっきり分かります。
現場では 「支店なのにD-8を取得したい」というご相談が最も多く寄せられます。結局は法人転換をやり直すケースが多いため、最初の形態選択が肝心です。
資金送金手続きの重さの違い
法人は外国人投資申告後に投資金が入金されると、外国人投資企業登録で締めくくられます。
支店は営業基金の送金のたびに外国為替銀行への申告が必要であり、本社への送金にも別途の申告手続きが伴います。
支店は軽く見えても、送金が頻繁になるとかえって行政負担が重くなる構造です。
一目で分かる比較表
| 項目 | 外国人支店 | 外国人法人 |
|---|---|---|
| 法的人格 | 本社の一部 | 独立法人 |
| 責任範囲 | 本社の無限責任 | 出資金の範囲内 |
| 根拠法令 | 外国為替取引法 | 商法 + 外国人投資促進法 |
| 外国人投資の認定 | 不可 | 可能 |
| D-8ビザ | 事実上不可 | 可能 |
| 駐在ビザ | D-7可 | D-7/D-8可 |
| 支店税 | 適用の可能性あり | 該当なし |
| 本社送金 | 申告後可能 | 配当の形で送金 |
| 申告窓口 | 外国為替銀行 | KOTRA/外国為替銀行 |
| 選択基準 | 支店が有利 | 法人が有利 |
|---|---|---|
| 市場調査段階 | O | X |
| 短期プロジェクト | O | X |
| 外国人従業員の長期雇用 | X | O |
| 韓国内売上の本格化 | X | O |
| 租税減免の活用 | X | O |
| 本社責任の分離 | X | O |
中間チェック — 自社に合う形態が判断しづらい場合
ここまで読んでも、本社の構造、送金計画、ビザの人数によってどちらが有利か判断が難しい場合は、事例ベースでの検討が早道です。
費用は事例ごとに異なるため、無料相談の際に正確にご案内いたします。
今すぐ無料相談を申し込む → 02-363-2251 / カカオトーク: alexkorea
形態別の設立手続きまとめ
法人設立の手続き
- 外国人投資申告(KOTRA Invest KOREAまたは外国為替銀行)
- 投資金の送金および仮想口座への入金
- 法人設立登記(法院登記所)
- 事業者登録(国税庁ホームタックス)
- 外国人投資企業登録
- 必要に応じてD-8ビザ申請
支店設置の手続き
- 外国企業国内支社設置申告(外国為替銀行)
- 営業基金の送金
- 支店登記
- 事業者登録
- 必要に応じてD-7ビザ申請
支店のほうが手続きの段階数は少ないものの、本社決議書・定款・登記事項証明書など本社側の書類準備が煩雑です。
本社書類は本国での公証と韓国領事館領事確認、またはアポスティーユが必須であり、この段階で最もスケジュールが遅れがちです。
注意: 本社所在国がアポスティーユ条約締約国でない場合は領事確認の手続きが必要となり、国によって処理期間が異なります。正確なスケジュールは事前確認が必要です。
実務で見落としがちなポイント
形態変更は事実上ゼロからのやり直し
支店から法人に転換するためには、支店を閉鎖したうえで新規法人の設立を改めて進める必要があります。
資産移転、従業員の承継、取引先契約の引継ぎは、いずれも別途の処理が必要です。
最初の選択を誤ると、コストも時間も倍になります。
本社の信用力が支店に直接影響する
支店の債務は本社が負担するため、韓国の取引先が本社の信用評価を求めるケースがあります。
法人であれば韓国法人の信用で取引が可能です。
B2B取引が多い業種では、この点も形態選択の判断材料になります。
支店閉鎖時の残余財産の送金
支店閉鎖時には残余営業基金の送金に外国為替申告が必要であり、税務署での清算手続きも伴います。
軽く始めたつもりが、撤収も同じように軽く済むわけではありません。
よくある質問 (FAQ)
Q1. 支店からスタートして、後から法人に変更できますか?
A. 直接的な転換制度はありません。支店を閉鎖し、法人を新たに設立する手続きを踏む必要があり、資産や契約の移転が別途の課題として残ります。
Q2. 連絡事務所も事業者登録は必要ですか?
A. 連絡事務所は営業活動が禁止されているため、通常の事業者登録ではなく固有番号の発給を受けて運営します。売上活動が発生した場合は、ただちに支店または法人への転換が必要です。
Q3. 支店でも外国人投資企業の租税減免を受けられますか?
A. 受けられません。外国人投資促進法上の減免は、法人形態の外国人投資企業のみが対象です。
Q4. 本社の資本金が小さくても韓国法人を設立できますか?
A. 本社の資本金とは別に、韓国法人の外国人投資認定には所定の最低投資額要件があります。事例ごとの適用基準は相談時にご確認いたします。
Q5. 支店長が外国人の場合はどのビザを取得しますか?
A. 通常はD-7(駐在)ビザが発給され、本社勤務歴などの要件が課されます。要件を満たすかどうかは、本社在職証明の段階で結果が分かれることが多くあります。
Q6. 処理期間はどちらのほうが早いですか?
A. 本社書類の準備スピードが鍵となります。一般的には法人設立のほうが段階数は多いものの、本社書類がしっかり整っていれば大きな差は出ません。個別事例のスケジュールは別途ご確認ください。
ビジョン行政士事務所のサービス案内
ビジョン行政士事務所(VISION Administrative Office)は、外国人法人設立、支店設置、外国人投資申告、D-7・D-8ビザまでを一つの窓口で処理いたします。
本社の書類準備段階から、韓国側の登記・税務・ビザ連携まで、案件ごとにきめ細かくチェックいたします。
費用は事例ごとに異なるため、無料相談の際に正確にご案内いたします。
専門家への相談をご希望の方へ
支店と法人のどちらがご自身のケースに合うか、本社の構造とビザ計画もあわせて検討いたします。
- 電話: 02-363-2251
- メール: 5000meter@gmail.com
- カカオトーク: alexkorea
- 住所: (04614) ソウル特別市中区退渓路324、3階(ソンウビル)
- 事務所: ビジョン行政士事務所 (VISION Administrative Office)
専門家への相談が必要ですか?
複雑な手続き、一人で悩まないでください。専門行政士が丁寧にご案内いたします。




